特に若手の看護師が地方の病院で勤務を続ける上でネックになってくるのが「やりがい」の問題です。地方の病院には都会のような進んだ医療環境が少なく、最先端の高度な医療もなかなか勉強できません。やる気を持った若い看護師にとっては地方の病院はあまり魅力的に映らないといいます。

ここで、地方での病院の状況をお聞きするために実際に看護師として勤務されているKさんにお話を伺いました。Kさんは鹿児島の山間部にある病院で長年ベテラン看護師として活躍されている方で、看護師以外にも保健士、ケアマネージャーの資格もお持ちです。

Kさん「私が見てきたうちでは、若い看護師の人はだいたい最先端医療とか新しいことの勉強がしたいものです。特に新卒の人なんかは新しい知識もあるし、やる気や希望を持って職場になる病院へやって来ます。そういう看護師さんにとって、ここみたいな田舎の病院は物足りないと思います。多分こういう地方の病院では若い看護師さんはやりがいを感じられないんじゃないでしょうか」

-やはり地方の病院では勉強のしがいがないということですか?

Kさん「田舎だとどうしても患者さんもお爺さんやお婆さんばかりで、だいたいが慢性病の治療で薬をもらうだけとか、足腰のリハビリとかそんなのばっかりですよ。そんな都会みたいに新しい治療の機械とかもないし若い人が勉強しようと思ってもそういう環境にないんです」

-もし、そういう慢性病以外の病気があっても対応できないんですか?

Kさん「例えばガンみたいに最先端の治療が必要とか、専門的な医療のニーズがあったら今はすぐにドクターヘリが飛ぶんです。それでその患者さんは都会の大病院に運ばれてそこで治療を受けます。だから当然、田舎にはそういった病気の専門の先生もいないから若い看護師さんが専門的な医療の勉強をしようと思ってもできないことになるんです」

-じゃあそもそもそういった高度な医療設備も揃っていないんですか?

Kさん「そうですね。患者さんたちもそれは分かっているから大きな病気のときなんかは最初から町の病院へ行きますよ。私だって、もし自分がガンだと分かったらどこで治療を受けるか考えます。自分が勤める病院よりもやっぱり施設の整った所を選びたいと思ってしまいますね」

-都会と地方で医療の役割分担があるようですね。

Kさん「医師の先生もやっぱり地方はそういうふうで高度なことをできないというか、やりがいがないみたいで回転も早いですよ。この前入ってきたと思った先生が気がついたらもういなかったりして。若い看護師さんも同じです。やっぱり、地方の看護師不足っていうのも制度の問題というより、やる気のある若い看護師にとって地方の病院には魅力がないように感じられることも大きいと思います」